A7手帳、浅海散子

A7サイズの手帳。何かを書く。

いつだって夢の中に帰れる

小さい頃から空想ばかりしていた

風邪を引いていた。天気や気温の変化に弱い。精神的ストレスにも弱い。

風邪を引いていると情緒が不安定になる。悲しい、寂しい、怖い、そういう感情でいっぱいになってしまう。なぜだか健康に縁がなく、不定愁訴自律神経失調症、ストレス性の疲労、そう表現するしかないような状態が常だ。

私は考えることが好きだ。考えることしかできなかった、だから好きになったのかもしれない。あるいは、起きた直後から寝る直前まで思考を続けていることが、私を健康から遠ざけているのかもしれない。とにかくずっと小さい頃から空想ばかりしていた。

自由な世界の夢

苦しい時期、ベッドの上で寝つくまでに空想するお気に入りのお話がある。

何もない空間に私が浮かんでいる。この世界で、私は全知全能だ。どんなことだってできる。どんなものにも害されない。自由な世界の夢だ。

始めに行うことはだいたい決まっている。全ての知と能は鍵のかかった本となり、本棚に収められる。私は私と対等な存在を生み出す。彼は手のひらほどの大きさだが、私の友人であり、私を制することができ、彼の心中を私が侵すことはできない。

彼と相談しながら、私は欲求を満たせるような世界を創っていく。現実とほとんど同じ舞台を用意することもあれば、私の身体だけで完結することもある。舞台上の誰かに本の一冊を与えて観察することもあれば、現実で受けている苦痛を心地よく和らげて治すこともある。

いつだって夢の中に帰れる

知識と能力は心を変容させてしまう。私は変わることを恐れているのだと思う。誰も不幸にならない世界がいい。誰もが安寧にあることを望んでいる。

私はいつだって夢の中に帰れる。だから大丈夫だ、と、私は信じている。