A7手帳、浅海散子

A7サイズの手帳。何かを書く。

製品の評価基準のフレームワーク

バッテリーについて考えていた

スマートフォンのバッテリーは長持ちしたほうが嬉しい。繰り返し充電するのはよくないとか、過充電・過放電はよくないとか、そういった話をしばしば耳にする。同じ機器を利用するとしたら、どう使えば長持ちするのだろうか?

仕組みを知る必要がある

バッテリーには「長く使っていると持ちが悪くなる」という課題がある。これを解決するには、まずバッテリーが充電と放電を行う仕組みを知る必要がある。仕組みがわかれば解決策を考えられるだろう。

いったん仕組みを知れば、そのバッテリーの性能をどう評価すればよいかがわかる。高速に充電できるほうが良いし、長く使えるほうが優れている。最近は発火などの問題も起こっており、安全性の確保も必要だろう。

性能評価のフレームワーク

そうやって連想していくと、どうやら機器や道具の性能を評価する軸は共通部分があるようだと気がついた。このような共通化、および共通化したやり方はフレームワークと呼ばれる。機器に関する性能評価のフレームワークはどんなものになるだろうか。いま思いつくものを挙げてみよう。

通化できることの例として、バッテリーとプリンターに当てはめてみることにする。

製作費

俗なようだが馬鹿にできないのが費用だ。費用を抑えるには作製法の研究が必要で、より安価に作れれば高機能化が狙える。バッテリーなら多くの機器を使った応用ができるだろうし、プリンターなら大量印刷が可能になる。

耐久性

想定された用法で長く使えるものが作れれば、それまで実用化できなかった製品が作れるようになる。バッテリーなら交換の手間が削減できるし、プリンターなら高価な製品の導入がしやすくなる。

処理速度

処理速度が上がれば、同じ時間で多くの仕事ができる。高速に充電できるバッテリーなら寝る前に充電する需要がなくなり、プリンターなら急を要する資料作成に対応できる。

処理効率

処理速度に似ていて紛らわしいが、こちらは少ない材料や電力で同じ仕事ができることを指す。バッテリーなら負荷が減って発熱を抑えられるだろう。プリンターならインクの交換頻度が少なくて済む。

安全性

用法外の使用や不具合による故障は少ないほうが良いし、万一事故が発生して怪我につながるとまずい。バッテリーは発火のリスクを下げるべきで、プリンターはインクの液漏れなどを起こさない必要がある。

起動と停止の簡便性

機器によっては頻繁にオンオフが切り替わることもあるし、システムの規模が大きければ停止と再稼働のコストが無視できなくなる。バッテリーは細かく充放電を繰り返せるほうが便利で、プリンターを動かすのに長い時間がかかっては困る。

省スペース化

おおよその機器は小さいほうが優れている。バッテリーならより小さな製品に搭載でき、プリンターなら持ち運べると便利だ。集積化にもつながる。

多機能性

同じ用途の機器であっても、より豊富な機能があれば応用の幅が広がる。共通のバッテリーをさまざまな製品に組み込めれば工業化の効率がくっと上がる。プリンターなら多くの印刷媒体に対応していると嬉しい。

量産性

同じ機器をたくさん作れることは実用化において不可欠だ。バッテリーなら限られた資源で作れれば多く供給でき、プリンターも製作工程が簡単になれば普及させやすくなる。

性能同士の関係

ここまでで挙げた性能の評価軸は独立ではない。たとえば耐久性が上がれば結果的に製作費が抑えられ、処理速度が上がれば多機能化できるだろう。

総合的な評価という意味ではこのフレームワークは役に立たないが、ある評価軸が下がったとしても、別の性能を改善できれば製品のウリが定まる。

消費者側にとっても、自らが重視する評価基準に気が付けるし、同じ製品でも使い方を考えることができる。

性能評価のフレームワークを考えた

上述した以外にも考えるべき基準はあるだろうし、あえて分けた基準を統合したほうが役立つかもしれない。

しかし、新しい製品の考案や購入、既存の製品の使い方の工夫、基礎研究の応用性(たびたび問われる「何の役に立つのか」という疑義)を主張するのにも使えるフレームワークだと思う。

まあ、こういったものはすでに存在して、「何をいまさら言っているのか」と言われそうだが、自分で考えたことは無駄にはならないはずだ。